今回のJTC-digitalの特集「人材育成に使える助成金」シリーズの「人材開発支援助成金」をご紹介します。
人材育成をしたいけど、その時間にかかる賃金、経費が負担になるのでどうしても本業に実務を優先してしまい、将来のための育成を後回しにしてしまっているという事業主の方は多いのではないでしょうか?
「人材開発支援助成金」を活用してぜひ、人材育成や技能承継を実施してください。
人材開発支援助成金 (特定訓練コース・一般訓練コース)とは
人材開発支援助成金とは、職務に関連した専門的な知識・技能を習得させるための職業訓練を実施した際に、経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。
人材開発支援助成金は、労働者の職業生活設計の全期間を通じて段階的かつ体系的な職業能力開発を効果的に促進するため、事業主等が雇用する労働者に対して職務に関連した専門的な知識及び技能の習得をさせるための職業訓練等を計画に沿って実施した場合に、訓練経費 や訓練期間中の賃金の一部等を助成する制度です。
人材開発支援助成金 (特定訓練コース・一般訓練コース) のご案内(詳細版)
主な助成額
(OFF-JT)訓練コース | 経費助成 | 賃金助成 |
---|---|---|
特定訓練コース(OFF-JT)※中小企業 | 45% | 1時間あたり 760円 |
特定訓練コース(OFF-JT)※大企業 | 30% | 1時間あたり 380円 |
一般訓練コース(OFF-JT) | 30% | 1時間あたり 380円 |
(OJT)訓練コース | OJT実施助成 (1人1コース当たり) (雇用型訓練のみ) |
---|---|
特定訓練コース(OJT)※中小企業 | 20万円 |
特定訓練コース(OJT)※大企業 | 11万円 |
主な受給要件
- 雇用保険適用事業所
- 事業内職業能力開発計画、年間職業能力開発計画を事前に提出
- 職業能力開発推進者を選任
- 就業規則などに定期的なキャリアコンサルティングを実施することを定めている
- 過去6ヶ月以内に解雇者を出していない
- その他
人材開発支援助成金 (特定訓練コース・一般訓練コース)の活用例
人材開発支援助成金の実際の活用例をみてみましょう。
ベテラン社員の退職により有資格者が少なくなり、新卒者へ資格取得

- 業種:電気工事業
- 従業員数:10名
- 利用したコース:特定訓練コース(若年人材育成訓練)
- 受講コース:第二種電気工事士研修
- 訓練目標:第二種電気工事士資格取得
経費と受講時間 | 助成額 |
---|---|
外部訓練機関の受講料:36,000円 | 経費助成:16,200円(受講料×45%) |
OFF-JT訓練時間:18時間 | 賃金助成:13,600円(18h×760円) |
電気工事の仕事では、電気工事士の資格が必要となるため、第二種電気工事士研修を受講させることができて人材育成の役に立ちました。今後は第1種電気工事士資格取得も視野に入れていきたいです。
人材不足や早期離職を防止するための人材育成を図るために、教育訓練を実施

- 業種:福祉業
- 従業員数:130名
- 利用したコース:一般訓練コース
- 受講コース:介護福祉士実務者研修
- 訓練目標:介護福祉士国家資格の受験
経費と受講時間 | 助成額 |
---|---|
外部訓練機関の受講料:97,200円 | 経費助成:29,100円(受講料×30%) |
OFF-JT訓練時間:45.5時間 | 賃金助成:17,200円(45.5h×380円) |
訓練受講の支援を積極的に行うことで職員が資格を取得しやすくなり、それに伴って 会社への愛着心も芽生えた。定着率が高くなり離職を防ぐことに繋がった。 今後は、介護の資格に留まらず、介護事業に必要な安全衛生や、介護者を送迎するた めに必要な大型自動車免許資格取得のための訓練なども行っていきたいです。
令和4年4月からeラーニング・通信制による訓練も対象になりました。
助成金を活用して人材育成をしたいけど、業務時間内でまとまった訓練の時間が取れないなどの悩みを持っている方も多く、令和4年度4月から人材開発支援助成金の対象にeラーニング・通信制による訓練も対象となりました。
訓練時間の要件や受講時間の要件がことなりますので確認していきましょう。
訓練時間の要件
対面による訓練 | eラーニング・通信制による訓練 |
---|---|
実際の訓練時間となる 「実訓練時間数」が対象 | 実際の訓練時間ではなく、受講案内等に記載されている 「標準学習時間」や「標準学習期間」が対象 |
受講時間の要件
対面による訓練 | eラーニング・通信制による訓練 |
---|---|
訓練等の受講時間数が、 「実訓練時間数の8割以上であること」が必要 | 訓練機関が発行する 「受講を修了したことを証明する書類(修了証等)」や 「LMSデータ(eラーニングによる訓練のみ)」などの書類により 「訓練を修了していることを確認」 |
支給対象とならない場合
人材開発支援助成金の支給対象とならない場合は次のような事業主です。
- 不正受給を行って から5年以内事業主
- 支給申請をした年度の前年度より前のいずれかの保険年度の労働保険料を納入していない事業主
- その他
JTC-digital特集「人材育成に使える助成金」シリーズ「人材開発支援助成金」
今回はJTC digital特集「人材育成に使える助成金」シリーズ「人材開発支援助成金」のご紹介でした。
さまざまな業種の企業で活用できる助成金となり、令和4年4月からeラーニング・通信制も訓練の対象となりました。
人材育成を検討している企業の皆様はぜひご活用ください。
詳細の要件は厚生労働省の「人材開発支援助成金」をご確認ください。
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